「ワールドカップ見てたらさ、むなしくなってきちゃってさ。」
「得点シーンで喜びをわかちあえないから?」
「そうなんだよ。いい加減結婚したいなー。誰か紹介してくれよ。」
「あなたは結婚に向いてないわ。」
「なんでだよ。」
「人の気持がわからないからよ。例えばあなた、私にしょっちゅう冷たい態度とってるってわかってる?私、日々傷ついてるんだけど。」
「ありえないよ、冷たいなんて誤解だし気にしすぎだよ。」
「それってあなたとしては最大限の接し方をしてるって言ってる?」
「そうだよ、だから傷つくなんて被害妄想だ。」
「そうなんだ。でもあなたにとって最大限でも私にとって足りなかったら、それはやっぱり不満ってことよ。」
「うーん。それを言われると厳しいけど。例えばどんな時?」
「例えばって、、、、。例えば、A君はBちゃんを連れてくると、絶対Bちゃんをほったらかしにはしないじゃない。」
「俺がキミを連れて行った時はほったらかしてるの?確かに練習ではそうかもしれないけど、パーティーとかそういうところではそんなはずないよ。」
「あー、やっぱりそう思ってるんだ。悪いけど、そうでもないわよ。」
「でもさ、ほっといたとしてもさ、キミはみんなと仲いいから大丈夫でしょ。」
「私、基本的には社交的じゃないのよ。ひとりで寂しそうにしてるとあなたが迷惑だろうからがんばって社交的に振舞っているのよ。」
「うーん、そうは思えないなぁ。」
「基本的に女子は、その時エスコートしてくれている男子には常にかまってもらいたいものなのよ。」
「キミの場合はそう見えない。」
「じゃあ構ってほしそうにしていたら構ってくれる?でもそういうのってうざいでしょ。」
「うーん。そうかもしれない。」
「まあいいわ。私、あなたの彼女じゃないからずっと側にいてなんていう権利ないし、でもBちゃんもA君の彼女って訳じゃないけど、あなたは親しくなればなるだけ態度が冷たくなる人だってわかってるから。」
「あ、それさ、人聞き悪いからホントやめてよ。」
「だって本当のことだもん。」
「うん、、、、確かにキミには甘えているところがあるかもしれない。」
「優しい時はホント優しくて大好きなんだけど、冷たい時はひどいからね。ギャップにとまどうのよ。」
「だから冷たくなんかしてないって。」
「じゃあ質問変えるけど、もしもっと若くて独身の頃に私と知り合って、もし付き合って結婚していたら上手くいってると思う?」
「それはわからないけどさ。」
「わからないんだ。」
「あ、上手くいかないって言いたいんだろ。」
「楽しい時はすっごく楽しいと思うんだけど、きっと段々あなたが私をうざいと思うようになると思うわ。」
「そうかなぁ、、、。」
「そう。でね、それは私だからじゃなくて、誰に対してもきっとそうなの。」
「ふーん、そうかもな。」
「あなた、一回うざいと思ってしまうともう修復できないでしょ。」
「難しいと思う。」
「だからね、結婚には向いていないのよ。」